■まずは、これ書いとかなあかん。僕(谷口)との出会いは、その2011 年からさらに遡ること2年。2009年4月。ミクシー(懐)経由でもらった一通のメッセージだった。
「初めまして、 京都市立芸術大学総合芸術学科3回生 塩谷 舞(シオタニマイ)と申します 」
学校の中に閉じこもって制作ばかりの美大生たち。京都にはたくさん美大があるのに、他校との交流も、作品売り込みもしたことのない学生生活に風穴を開けようと奮起したしおたんが企画した、関西の美大生60人をあつめた交流会。(2009年5月31日・京都市中京区青少年活動センター )そこに僕が呼ばれて、講演会とポートフォリオレビューをしたのです。
塩谷:これが私にとってホンマに最初の最初です。子どもの頃からFM802を聴いてて、digmeoutのことも憧れてた。社会とアートを繋げるような仕事がしたい! と思って芸大に進学したんです。でも私が入学したした大学は大器晩成型で、社会に出るよりもまずは己を深く知り、技術を磨くべし、という空気に満ちてた。32歳になった今はその意味がよくわかるけど、20歳の当時は閉塞感を感じてたんですよね。「もっと社会に出たい!」と思って、digmeoutやってはる谷口さんにダメモトで「芸大生に向けた交流会で講演してください」ってお願いして、すぐ返事いただいて、人生で初めて企画したイベントやったんです。
この日、イベントの熱気が高まりすぎて、過呼吸になった子もいましたよね。谷口さんが講演で「見せなはれ」とか「世の中に出しなはれ」みたいなことを言うから、大器晩成型の教育を受けてる身にはショックが大きかった……。学校では「作れ、悩め」ばっかりやったから。そういう「世の中」というものに触れた瞬間に、喜びとか焦りとか、いろんな感情が渦巻いて、熱量がとんでもないことになった。それで後日、集まってくれた人に、「これからみんなで何かやりませんか、何ができるかわからないけど」と声がけして、集まったメンバーで始めたのが、美大生のためのフリーペーパー「SHAKE ART!」やったんです。