《Study of Americana》は、撮影当時31歳だった野上眞宏による「アメリカらしさの視覚的探求」だった。1974年に単身渡米した野上が、1978年にワシントンD.C.近郊で撮影したこのシリーズの撮影地は、ワシントン市街をはさんで南はヴァージニア州のアーリントンまで、北はメリーランド州バルチモアまで、国道沿いの一帯に及んだ。この地域の凡庸さのなかにある魅力に気づいた野上は、時代から取り残されたような、それでいてアメリカン・テイストのパワフルな色彩やデザインにあふれる光景を丹念に記録した。洋品店や理髪店、アールデコ調建築の映画館、誰もが車で立ち寄るスーパー、ガソリン・スタンド、ダイナー、看板やパーキングメーター。本展では撮影から45年を経て1冊の写真集にまとめられた《Study of Americana》から、40点近くを展示予定。
