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JOURNAL FROM THE CITY

petit à petit – 3 「 アトリエ探し、そしてブリコラージュ リノベーション 」

2020年秋にアーティストの夫とともに活動拠点をフランスに移したakari.  異文化での暮らしは日々奮闘と発見の繰り返し。ましてやコロナ禍により厳しく制限された生活の中。Journal From The City of Parisでは、akariが見出す日々の暮らしを綴るエッセイ “petit à petit”(プティ・タ・プティ)をお届けします。

akari

国内・海外にてインスタレーションやアート空間をプロデュースする他、様々な企業のブランドイメージアップや販売促進のディレクションを手掛ける。
「コミュニケーションをデザインする」をテーマに、企業パーティやイベントを企画。人が集う場、会話・対話する場をプロデュース。 2012年よりダンボールで作るパーティ空間「PAPER PARTY」をデザインし、新たな紙の可能性を発信。2015年には自身のライフスタイルブランド「by akari」を立ち上げる。近年は、ニュージーランド大使館やイタリア文化会館主催のパーティー空間プロデュース、FIT(ニューヨーク州立ファッション工科大学)での講演や台湾のマリオットグループホテルRenaissance Taipei Shihlin Hotelのアートワークを手掛けるなど、インターナショナルに活動中。2020年渡仏。

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akari._.ogawa

barracks anonymous design gang / Paris

episode 3 「アトリエ探し、そしてブリコラージュ リノベーション

 

渡仏後しばらくは10区サンマルタン運河近くのかわいいアパートに住んでいた。エレベーターがない最上階の6ème étage。こちらでは1階を0階とカウントするから実際のところは7階。朝パンを買いに行ったり、毎日の買い物やゴミを出すだけでもこの7階への階段を登らなければならない。マスクをしてゼーゼーハーハー言いながらドアを開けるのが日課だった。

 

忘れ物をした時にはもう、諦めるしかなかった。自分か夫のどちらかが出かけた時は、細い階段の中心部をうまく狙って7階から下まで落とすのだが、だいたい失敗する。足腰が鍛えられる日々、それでもこの小さなアパートから見えるMagenta通りの景色が大好きだった。毎朝コーヒーを飲みながら、夕暮れにワインを飲みながら、愛犬を抱っこしながら、この小さな窓からの景色を眺めたこのアパートで最初の冬を過ごせたことは、私たちにとってとても大切な想い出となった。

 

10区のアパートの階段

窓からの眺め

居心地のいいエリアに住むのはとても幸せだった。しかし、私たちにはやらなければならないことがあった。そう、アトリエ探し。
アーティストの夫が絵を描くのにふさわしい場所探しは、渡仏してすぐ始めていたが、なかなか思うような場所が見つからなかった。パリ市内の不動産事情は戦場といっても過言ではない。競争率は大体2030倍。その中で大家さんが誰に貸すかを決めるシステム。外国から来た人、という時点で大体蹴られてしまう。
知り合いに口コミで良い物件がないか聞いてもらったり、ネット上でありとあらゆる物件を見つくし、だんだんと疲れ切ってきた頃、突然理想的な物件に出会うことができた。パリ中心部からは少し離れるが、パリ中心部では広いスペースと天井高を持ち合わせた物件を見つけることは不可能だった。

 

ネットで見つけた翌日にオーナーに連絡を取り、その日のうちに見学に行った。もとは工場だったこの場所は、天井高が5m以上あり、北向きの窓。私たちが思い描いていたとおりの場所で、久しぶりに心が高鳴った。私たちの見学の前にはすでに4組の人が見にきていて、ハードルの高さを感じた。物件を借りるには、過去3ヶ月分の給与明細、電気代の支払いやこれまでの経歴など、ありとあらゆる書類の提出が必要だった。日本人で、しかもまだ滞在許可証もおりていない、働くこともできない私たちには、絶対に不可能としか考えられなかったこの理想的な物件。どうしても、どうしても手に入れたい!そんな想いから知り合いの方に通訳に入っていただき交渉を重ねた結果、色々な条件はあったものの、ものすごいスピードで借りることができた。これは奇跡としか言いようがなかった。あぁ、神様、ありがとうございます!!私たちはそんな風に何度も叫んだ。

 

そして、昨年11月に渡仏してから4ヶ月、私たちはこの想い出が詰まった小さなアパートから引越しすることとなった。

 

ロックダウン中のパリで経験したこと。

・到着3日目にボイラー故障  真冬の中のお湯なし生活
・水漏れ 2回  小さなアパートが洪水に
・トースター爆発
・モーター交換  水を最上階まで引き上げるモーターの故障
・マニフェスタシオン(デモ)
・ゴミ箱が燃やされ警察が暴徒化した人たちを追いかける様子は日常茶飯事
・銀行口座のアクティベートとシークレットコード問題  一体どれだけ時間がかかったか。。。
・突然のめばちこ、蕁麻疹
・夫、突然の嘔吐 もう絶対公園でVin chaud(ホットワイン)は飲まない
・滞在許可証をやっともらえた日にスマホを盗まれる

 

だいたいのことは経験できた笑

マニフェスタシオン(デモ)

ここからが私たちの本当の第1章。

 

古い工場を改装して作られたこの建物は、理想的なスペースではあったものの、絵を描く場所としては不十分な要素が多かった。1ヶ月に及ぶリノベーションはすべて自力。大型のホームセンターは閉鎖、工具、材木、ペンキなど通常なら簡単に手に入るものが入らない。届かない。それでも作品を作る前に、その気にさせる環境を作ることはもっと大切だった。

引き渡し直後のアトリエ。 鬱蒼としたエントランス。

唯一、二日間だけ車を借り、材木購入に2往復。車が地面に沈むかと思うほどの量だった。

店舗閉鎖のためネット注文後、2時間後に引き取りに行くサービス。何度通ったか、Leroy Merlin

まだお店が開いていた頃のLeroy Merlin。ペンキの陳列が美しい。見ているだけでワクワクするカラーサンプル。

ジュリアはお疲れ。

壁紙コーナーの一部。これだけ色々あると、そりゃ自分でやりたくなるし、やるよね。

荒れ放題の竹の伐採は 約300本。wifiケーブルにも入り込み電波障害をもたらしていた。翌日は身体中が筋肉痛。

タイルの床にペンキを落とさないようフローリングに変更。凄まじい作業だった。

終わりが見えてきた頃の棚作り。錆だらけの塗装をすべて剥がし、MDFで5mの棚を作った。

一つの空間を3つのスペースに分割。これで作業で粉塵が出ても安心。

余った材料でソファを製作。

18mmのポプラの合板でダイニングテーブルを製作。椅子だけは、ものすごい時間をかけてお互いのお気に入りを選び抜いて注文。

何が一番大変だったかと振り返ると、材木の調達。発送に信じられないくらいの時間がかかったり、注文したものが在庫切れだというお知らせが来たり、違うものが来たり。。。その度にリノベーションの工程を考える必要があった。

美しいパリ中心部からしばらく離れ、リノベーションに没頭した1ヶ月は手の生傷が絶えない日々でしたが、無事に完成したアトリエで、夫はようやく制作活動を開始することができた。

 

またここで起こる様々な奇跡と新しい出逢いが楽しみでなりません。

リノベーションが終わったまだ寒い日の朝、天窓の光で色々乾かしている上で眠るジュリア。

615日から77
渡仏後初の個展開催

個展の様子

個展の案内

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