Snow Pallet 13 -Snow on Anthropocene-
「Snow Pallet」とは、札幌在住の美術家、澁⾕俊彦が展開しているランドアート。屋外に配置されたオブジェの裏面に塗布された蛍光塗料が、光の反射によって雪面に鮮やかな色彩を表出させるというシンプルで美しいインスタレーションです。13回目となる今年は、札幌パークホテル中庭で初雪から雪解けまでの4ヶ月に渡り展開されました。過去最大となる高さや形状の異なるオブジェ70台が配置された中庭に雪が降り積もり、太陽光と雪の形状が、光や影の変化をもたらし、日々、あるいは一日のなかでも様々な風景を見せてくれます。雪が浅い日にはキタキツネが会場を通り小さな足跡を残すという、まさに自然と寄り添いながら共生する「Snow Pallet」。唯一人工的なアクセントを残す蛍光色が雪面にグラフィカルな美しさを引き出し、見る人に鮮やかな記憶を残してくれます。澁⾕さんの「Snow Pallet」は、年間降雪量が6mに達する札幌ならではの「冬の記憶」。それはまた、年々降雪量が減少する北海道から気候変動、地球温暖化に対する警鐘でもあります。今シーズンの終了にあたり、澁⾕俊彦さんからいただいたレポートとともにご覧ください。
1960 北海道(室蘭市生まれ)
1983.3 武蔵野美術短期大学
商業デザイン学科卒業(卒業制作:優秀賞)
1984.3 武蔵野美術短期大学専攻科修了 (修了制作:研究室賞)
■現在:スノーパレットプロジェクト主宰 イコロの森ミーツ・アート代表 北海道芸術学会副会長(2021年4月~)専門学校札幌デザイナー学院 学校長 北翔大学教育文化学部芸術学科 非常勤講師
■AWARD
2017
「北海道文化奨励賞」
2014
「札幌文化奨励賞」
1998
第24回ドイツ・オランダ・ベルギー美術賞展 「優秀賞」
サッポロ・アート・アニュアル98
「グランプリ」
1994
国際美術大賞展 「91,スポンサー賞」 「92,特賞」「93,美術新聞社賞」「94,奨励賞」第4回94ARTBOX大賞展 「賞候補」
(麻布美術工芸館/六本木)
1993
コンテンポラリーアート協会東京展 「91,奨励賞」「92,金賞」「93,銀賞」
1992
第7回橋の美術展 「大賞」(坂出市民美術館/香川県)
1989
コンテンポラリーアート協会ニューヨーク展「最優秀賞」
1989
第15回i・m・a展 「IMA賞」(東京都美術館)
■PERMANENT COLLECTION
・坂出市民美術館 (香川県)
■展覧会歴
2020
GEUMGANG NATURE ART BIENNALE ‘Nature Art Video Exhibition’
「金剛ネイチャーアートビエンナーレ」‘ネイチャーアートビデオ展
(ヨミサン自然芸術公園、韓国)
澁谷俊彦展 Generation 8 「起源・発生 / 共生・共存」(真鍋庭園/帯広)
2019
What’s winter art ? ─冬のアートを辿る─(札幌文化芸術交流センター SCARTS)
Northern Art Collaboration 2019 in Tampere(ガレリアロンガ / フィンランド)
イコロの森ミーツ・アート2019
(イコロの森/苫小牧市)
これまでも、これからも/札幌グランドホテル開業85周年記念展
(グランビスタ)
2018
帯広コンテンポラリーアート2018「河口」展 / 新川河口周辺領域
2017
ポンペツ藝術要塞2017(鵡川穂別 道民の森)
ホワイトジェネレーション/ 北の脈々2 North Line 2 (500m美術館 / 札幌)
2016
Candy Room / アイスヒルズホテルin 当別 (当別)
2014~
ヒト科ヒト属ヒト展/帯広コンテンポラリーアート2016(帯広の森)
2015
思考するアート展 コトバノカタチ / Snow pallet 8(北海道立帯広美術館)
マイナスアート展 / 帯広コンテンポラリーアート2015(旧ホテルみのや/ 帯広)
ハルカヤマ藝術要塞2015
(小樽春香山周辺) 2011~2015
2014
Sprouting Garden-「萌ゆる森」
(札幌芸術の森、野外美術館)
Far East Contemporary Art 2014
(北見市留辺蘂、旧大和小学校周辺)ク
リエイティブ北海道meets バンコク
(タイ、バンコク)
ART X-WINTER ART(クロスホテル札幌、エントランス)
2013
絵画の場合・最終章
(北翔大学北方圏学術情報センター/札幌)
三笠奔別炭鉱アートプロジェクト2013
(三笠奔別旧住友炭鉱 / 三笠)
New City Art Fair in Taipei
(松山文創園区、台北 / 台湾)
2012
クリエイティブ北海道meets 香港
(セントラルオアシスギャラリー / 香港)
スノースケープモエレ7
(モエレ沼公園ガラスのピラミッド周辺)
アルタイルの庭 /JRタワー・アートプラネッツ(プラニスホール、そらのガーデン)
ART KYOTO 2012(ホテルモントレ京都)
2010
北海道立体表現展(北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館)
PLUS1 This Place (本郷新記念札幌彫刻美術館)
2009
PLUS1 +柴橋供夫企画 空間の蝕知へ絵画の場合2009 (ギャラリーエッセ /札幌)
2008
アジア・プリント・アドベンチャー08 IN おといねっぷ
第29回国際「インパクト・アート・フェスティバル (京都市立美術館)
2007
絵画の場合 (ポルトギャラリー/札幌)
2005
札幌の美術「札幌を彩る作家たち展」~北の街 季節のなかで 絵画の場合 (ポルトギャラリー/札幌)
2004
絵画の場合-ナンデモアリノナカデ- (ポルトギャラリー/札幌)
2003
アジア・プリント・アドベンチャー03 (北海道立近代美術館)
国際アートフェア・リニアート (ベルギー、ゲント)
2002
インターナショナル グループ展
(セーラムギャラリー/ニューヨーク)
国際アートフェア・リニアート
(ベルギー、ゲント)
2001
さっぽろ美術展 (札幌市民ギャラリー) 日本美の継承展 (在札幌米国総領事館/札幌アメリカンセンター)
第2回池田満寿夫記念芸術賞(東京国際フォーラム、大阪現代美術センター)
三浦美術館大賞展 (愛媛県ミウラートヴィレッジ)
2000
ドイツ美術賞展 (フランクフルト)
1998
第24回ドイツ・オランダ・ベルギー美術賞展 サッポロ・アート・アニュアル98アジア・プリント・アドベンチャー98 (北海道立近代美術館)
1997
第3回鹿沼市立川上澄生美術館木版画大賞 (鹿沼市民文化センター)
さっぽろ美術展 (札幌市民ギャラリー)
1996
交差する座標軸(錦糸町西武ザ・プライム、スタジオ錦糸町)
1994
国際美術大賞展 第4回94ARTBOX大賞展
(麻布美術工芸館/六本木)
1993
コンテンポラリーアート協会東京展 第7回橋の美術展(坂出市民美術館/香川県)
1990
コンテンポラリーアートエキスポ東京
コンテンポラリーアート協会ニューヨーク展
北海道・今日の美術 「軽やかさとの対話」
(北海道立近代美術館、道立旭川美術館、道立函館美術館)
1989
第15回i・m・a展 [IMA賞] (東京都美術館) ETDA展
「表現の現在」日本文化デザイン会議 (幕張メッセ/千葉)
1988
国際インパクト・アート・フェスティバル (京都市美術館)
1986
第12回、第13回 日仏現代美術展
(グランパレ/パリ、東京都)
第5回上野の森美術館絵画大賞展
(上野の森美術館)
JAPANインパクト・アート・ナウ 87 (韓国美術館/ソウル)
1987
現代日本絵画代表作家展 (旧西ドイツ、ベルギー)
WORKS ON PAPER`87`89 (大阪府立現代美術センター)
1985
85現代美術の祭典 (埼玉県立近代美術館)
スノーパレットプロジェクトの変遷
Snow Pallet 1 / モエレ沼公園(2011年)
Snow Pallet 2 / 札幌芸術の森美術館 中庭インスタレーション(2011~2012)
Snow Pallet 3 / 関口雄揮記念美術館 前庭(2012~2013)
Snow Pallet 4 / ノース・スノーランド・イン千歳 (2013)
Snow Pallet 5 / 小樽運河プラザ、小樽貴賓館 (2013~2014)
Snow Pallet 6 / 防風林アートプロジェクト、帯広(2014)
Snow Pallet 7 / 札幌宮の森美術館 中庭テラス (2014~2015)
Snow Pallet 8 / 思考するアート展 コトバノカタチ、道立帯広美術館 (2015~2016)
Snow Pallet 9 / 六花亭札幌本店 南面前庭(2016~2017)
Snow Pallet 10 / ホテル札幌ガーデンパレス 4F中庭(2017~2018)
Snow Pallet 11 / 六花亭札幌本店 南面前庭(2018~2019)
Snow Pallet 12 / 札幌デザイナー学院 階段エントランス、ショコラティエ・マサール本店 中庭 (2019~2020)
Snow Pallet 13 / 札幌パークホテル 中庭 (2020~2021)
2021年3月11日正午、全オブジェの撤去をもって冬の終わりを宣言しました。過去のシリーズを振り返っても、例のない最大個数のオブジェを配したランドアートとなりました。数十年ぶりというような想定外の大雪が降ることもなく過ぎたシーズンです。日々降雪と快晴が繰り返され、今までないオブジェの影と反射光のハーモニーを観ることが多くありました。設置したオブジェには幾つもの高さの異なるものが準備され、1メートルの降雪にも埋没することない大きさのものもあります。結果的に全埋没したオブジェたちは高さ30㎝程度のものに留まりました。札幌の気象データは年々少雪傾向をしめしておりますが、北海道内全域をみると局地的大雪も記録され、多くの被害も出ております。 地球温暖化、気候変動、異常気象 これは全てわれわれ人類の歴史です。人為的要因によるものが大と言えるでしょう。
スノーパレットプロジェクトは毎冬の降雪の記録をアートで記憶することですが、究極、雪不足でプロジェクトが成立しないシーズンが近い将来あるかもしれません。それも1つの冬の記録として残していければ良いと考えます。もちろんそれを願っているわけではありません。
毎冬の1つ1つの美しい記憶をこのプロジェクトで紡いでいけることを望みます。
スノーパレットプロジェクト/澁谷俊彦
■Toshihiko Shibuya website
https://www.toshihikoshibuya2.com/
■snow pallet project website
https://www.facebook.com/snowpalletproject
■インタビュー動画
https://www.youtube.com/watch?v=p9F5JfB50xM&t=63s
■Snow Pallet 13
https://www.youtube.com/watch?v=aWH0Z5laae8
■Snow Pallet 13 Cloudy, fine later and snowy
https://www.youtube.com/watch?v=U0mpGOfsebE
■Toshihiko Shibuya Youtube channel
https://www.youtube.com/channel/UCk8tm5goMSRayIYk7pOYLZg