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Interview – IKUIKU STUDIOギャラリートーク



現在、チグニッタで開催中の個展「いく!いく! 小高潮共和国 – REPUBLIC OF IKU IKU ISLAND 」は、台湾の大人気イラストレーター IKUIKU STUDIO(読み方:いくいくスタジオ)の日本初個展、そしてチグニッタにとっても初の海外アーティストのご紹介となります。

パンデミックと共生する時代とは言え時節柄、たくさんの制約や課題を乗り越えてIKUIKU STUDIOは台湾から来日しました。チグニッタからは査証(VISA)申請の手続きや、IKUちゃんは個展準備に加えて来日前の行動規制、出入国のあらゆる手続き、PCR検査など。そしてたくさんのグッズをトランクに詰め、大きな「ペニスツリーのクッション」を手に携えて「ハロー!」と元気いっぱいの様子でチグニッタに現れたのです!


オープニング2日目の土曜日に行ったギャラリートークの模様をお伝えします。


 

IKUIKU STUDIO

2018年にオーストラリアでのワーキングホリデーが終わり、故郷の彰化へ戻りikuikustudioを設立しました。私はイラストの仕事を通して、”欲望は本能、愛は多様”というメッセージを世界に向けて発信しています。いつか朝食に何を食べるか話し合うように、気軽に性について話し合えたらいいなと思っています!

Instagram: ikuikustudio

 


©️keitata / Keita Kusaka

「すべての女性が性の自立性を持てるように励ましたい」


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— まずは、「いく!いく!スタジオ」というアーティストネームについて教えてください。

『いく!いく!は日本語で「出向く」や「行く」の外に向かっていく意味と、sexでのオーガズムに達するときに日本人がよく言う「イク!」の二つの意味があります。また、日本のAVでは、主人公が絶頂を迎えるとき、「イクイク」と言うことが多い。私のイラストは、「セックスと旅行」の話をしたいので、アートワークの名前として二つの意味を持つ「いく!いく!」を使っています。

なぜ日本語かというと、2016年に直島を訪れた後、心も体も開放されてオーガズムに達しました。台湾に戻った時に直島に関する出版物「いく!いく!なおしま(高潮了!直島)」を作成したことがきっかけでした。』

— なるほど、確かにセックスや旅行の作品が多いですね。それにしても、なぜセクシャリティ(性的)なことを題材にしているのですか?

『性教育・ジェンダー問題は重要だと感じていますし、セックスやセックスについての事柄は偏見にさらされることが多いので、アーティストの私は、自分のイラストを通して「エロの自然さ」を伝えたいと思いました。

特に、私がいる台湾などアジア社会では長い間、私のような女の子が自然に自分の性を表現することができなかったんですよね。まずは自分から、年齢や職業、宗教に関係なく、すべての女性が性の自立性を持つことを奨励したいのです。そのために性的なことを題材にしています。』

「人生を楽しむことが大切」


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— そして、この色やイラストはとってもPOPで親しみやすいですね。IKUちゃんはどんな体験やアーティストから影響を受けましたか?

『オーストラリアは本当に影響を受けました。ワーキングホリデーでオーストラリアに2年間滞在したのですが、台湾に帰国する前に彼氏と2人で2ヶ月間オーストラリアをドライブ旅行したんですね。その時の経験から大きな影響を受けたと思います。 全身全霊で充電しました!』

— どんなところが台湾と大きく違いましたか?

『オーストラリアは労働時間が短く、給料もそれなりなので、生活や旅行のための貯蓄に余裕があります。それから、それぞれが料理を作ってお互いの寮に行き、一緒に食事をしたり、一緒に映画を見たりするパーティーもたくさんありましたね。

でも、オーストラリアに行く前の台湾では、長時間働くので、家に食べ物を持ち帰ったりして、料理をする気分にはなれませんでした。まともに料理をする気分にもなれず、休日は土日の2日だけでしょうし、寝坊することもありました。私はオーストラリアに行き、上手に生きること、人生を楽しむことを学んだと思います。

私はホテルで働いていたのですが、午後3時に仕事が終わるんです! その後は同僚だちと「ビーチに行く?ピクニックに行く?」とか「パブに行く?」など楽しい時間を過ごしました。一緒にいても、仕事が終わると誰一人として仕事の話はしないのが驚きでした。私が刺激を受けたのは、仕事が第一ではなく、どれだけ良く生きるかをとても大事にしているか、ということです。』

— また、日本のカルチャーからも影響を受けていると聞きましたが、日本のどんなところが好きですか?


『日本食、日本のドラマ、銭湯文化や路面電車も好きです! 日本のエロ産業に興味がある! 瀬戸内芸術祭など日本の芸術祭も好きです。好きなアーティストは草間彌生さんです。』

— 日本のエロ産業(笑)日本のAVも観ますか?

『観ますよ、ちゃんとお金を払って観ています。無料だと作った人にお金が落ちなくてフェアじゃないので、こちらも有料版を観ます。全裸監督も台湾で人気で今回Tシャツなどイメージして作りました(笑)』


パームツリーを手持ちで台湾からチグニッタに現れたIKUちゃん


ギャラリートーク

ギャラリートーク


「フェアな関係を大切に」 ——–

— IKUちゃんが描くエロスは、先ほど話してくれたように性や愛への日常的に起こる閉塞感を打ち破ることだというのは良くわかりました。では、作品や活動を通して、周囲にどんなことを伝えていきたいですか? 『欲望を自然に表現したい、たくさん愛したい! いろんな愛を伝えたいです。また、フェアトレードに則り、できるだけ地元で活動することを心がけています。』 — フェアトレードとは例えばどういうことですか? 『公正な取引を大事にしています。いろんなオリジナルプロダクトを作っていますが、私は適正な労働環境や労働賃金で作られたものしか取り扱いたくないので、台湾で作られたものを使っています。メーカーさんに仕入れ価格を値切ったこともありません。彼らが出してきた値段をそのまま受け入れます。値切ることで誰かが不利になったり、中国やその他の国であるような低賃金労働で作られたものを自分のグッズに入れることは絶対に嫌なのです。そこにすごくこだわっています。』

「お仕事や活動について」 ——–

— IKUIKU STUDIOは現時点(2022年7月)でインスタグラムフォロワーが34,000人で、台湾で注目されているインフルエンサーイラストレーターの一人です。商業ベースのお仕事もたくさんされてきているので、次はその辺りを聞いて観ますが、まず彼女の名前がグッと広がったのが「BEAMS台湾」とのTシャツのお仕事でしたね。使用されたイラストについて教えてください。 『このイラストは、2016年に直島(香川県)に滞在していた時に通った喫茶店が舞台です。おじいちゃんとおばあちゃんでやっている小さな喫茶店。おばあちゃんは英語を少し話しました。毎日通っていたある日、おじいちゃんが「店のメニューのイラストを描いてほしい」と言われて、その時は絵を描く道具を持っていなかったのですが宿に戻り紙とペンでメニューをドローイングを描きました。おじいちゃんはすごく喜んで、絵が汚れないように透明のパウチをして、まるで家宝のようにお店の神棚に飾ったんです(笑)私はそれで朝ご飯を無料で食べれるという恩恵に預かりました(笑)BEAMSのTシャツではこの大切でスイートな思い出を再現したアートワークを使いました。(*販売は台湾のみです)』




BEAMS(台湾)とコラボレーションしたTシャツ


— ショッピングモールや大きなイベントのメインビジュアルも手がけていますよね。その辺りのお話も聞きましょう。

『これは私の地元、彰化(チャンファー)で行われた七夕にちなんだLOVEイベントのメインビジュアルです。台湾の七夕は「恋人の日」とも呼ばれ、カップル向けのイベントが人気です。地元で有名な大仏様を中心に据えて愛をたっぷり描きました。

そして、これはショッピングモールがヴァレンタインの時期に行ったプロモーションのメインビジュアルです。このテーマが与えられた時にたくさんの愛を表現したいと思いました。私にとってヴァレンタインは男女のカップルだけではなく、LGBTQ+などすべてのカップルにとっての愛の日です。ただ、人物のゲイカップルを描くことが今回クライアントが難色を示したため、私は登場キャラクターを動物に置き換えて描きました。ダイレクトにゲイカップルと明らかに伝えるよりも、キャラクターを通して愛の多様性をわかってもらえたら、と思いました。』



七夕イベントのメインビジュアル

ヴァレンタイン・プロモーションビジュアル


— 今年開催された台北国際図書展にも関わられたんですよね?

『今年の台北国際図書展では、ナイトテーマのメインビジュアルのデザインのほかに、絵の仕上げにも参加しました。

当日は、出版業界で有名な作家を数名お招きし、ステージで朗読していただいたり、朗読に合わせて曲を流すDJがいたり、私はステージ上の作家を動物の形に描く役を担当しました!(笑)。

下書きなしでライブで絵を作るのは初めてだったので、最初はとても緊張しましたが、音楽と朗読を聞いているうちに、どんどん感動していきました。 ウクライナの代表者をステージに招き、戦争に関する記事を読んでもらい、スクリーンに「Make love, Not War ! 」の文字が移され、MCと一緒に全員でスローガンを唱えました。

みんなで集まって読み上げることができるのは、とても感動的でした。』




— そして、チグニッタのご近所にある出版社INSECTSさんとのお仕事もしています。この手元にあるのは昨年出版されたMY FAVORITE ASIAN FOODという本にIKUちゃんも描いていたり、来月発売のINSECTS MAGAZINEの表紙を飾るなど日本での活動も広げています。今回、このお仕事のキッカケを教えてください。

『INSECTSさんは台湾人のデザイナーさんがいて、彼から声をかけてもらいました。母国語でコミュニケーションがとれ、最初にテーマと方向性を与えられ、テーマに関連する情報や素材を集め始め、鉛筆で下書きをし、相手からフィードバックをもらい、最後にパソコンでトレースして色をつけるという流れで、とてもスムーズでした!。

テーマが決まったら→テーマに関する情報を集める→ラフを書いて期日を決める→鉛筆で下書きをする→パソコンで絵を描いたり色を塗ったりする、という流れで作業していました。』



MY FAVORITE ASIAN FOOD  出版:インセクツ

「冒険の勇気を!」 ——–

— IKUIKU STUDIOの日本初個展ということで、このトークも録画してアーカイブに残します。ぜひ日本の方々にメッセージをお願いします。 『この作品を通して、流行に流される退屈な日々に冒険の勇気を取り戻せたらと思います。そして、いくいく共和国で、自分らしさを自由に発揮してほしいと思います。 そして、みんなで「一緒にいく!いく!」しましょう!』


みんなで「一緒にいく!いく!」


ギャラリートーク 7/30 Sat at chignitta space

———————————————— アーティスト: IKUIKU STUDIO コーディネイト / 中国語: 下原亜矢 司会進行/英語: 笹貫淳子 記事制作: 笹貫淳子 ————————————————

ギャラリートークはこちらからご覧いただけます: click >> ギャラリートーク・アーカイブ

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IKUIKU STUDIO オンラインショップ開店中!

日本で買えるのはここだけ! click >> チグニッタオンラインショップ

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IKUIKU共和国への入国者が続出! ワークショップのご予約はこちらです 現在、8月13日(土)14日(日)予約受付中 click >> IKUIKU STUDIOワークショップ予約サイト



ワークショップ風景

iku iku studio Solo Exhibition 「いく!いく! 小高潮共和国 – REPUBLIC OF IKU IKU ISLAND 」


chignittaで初めての海外アーティスト個展 台湾の大人気イラストレーター iku iku studio が来日、在廊!

会期:8月14日(日)まで 13:00 – 19:00 *月休み

会場: chignitta space 大阪市西区京町堀1-13-21 高木ビル1F奥

内容: イラストの原画・プリント・グッズ展示販売 作家が来日して似顔絵イベントの開催

主催:株式会社チグニッタ 企画・ディレクション:下原亜矢 展示協力:木村屋酒店

お問合せ: info@chignitta.com


■交通手段

御堂筋線・四ツ橋線 本町駅28番出口から北に徒歩5分、四ツ橋線 肥後橋駅7番出口から南に徒歩5分


■新型コロナウィルス感染症対策に伴い皆様に安心してご来場頂けるようスタッフの指示にご協力をお願いいたします。







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