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Interview -福嶋さくら ギャラリートーク



チグニッタで現在開催中、福嶋さくらさんの個展「隔たりを行き来する」のオープニング。2日目に行われたギャラリートークの模様をお伝えします。アクリル画に刺繍という独特の手法でさりげない風景を切り取る福嶋さんの作品の魅力、今年6月の「メタセコイアアートフェア」で審査員賞を獲得した、BYTHREEさん栗原さんとのコラボストーリーもお楽しみください。展示作品の写真と共に全作品解説もお届けします。


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オンラインでの作品販売もスタートしています。


 

福嶋さくら

1987 年熊本県生まれ。
2012 年武蔵野美術大学 大学院造形研究科 美術専攻 油絵コース 修了。現在、東京を拠点に活動。

主な個展に「正夢」( 清須市はるひ美術館/ 2022 / 愛知)「一編」(WHITESPACE ONE / 2017 / 福岡)「あしたはさかのぼる」( つなぎ美術館/ 2016 / 熊本)
主なグループ展 「TOUR」( ユナイテッドアローズ / 2022 / 熊本)「Kyushu New Art」( 博多阪急 /2021 / 福岡 ) 「 美の鼓動 九州クリエーター・アーカイブ vol.2」( 九州産業大学美術館 / 2017 / 福岡 )
「 Recto emotion – 刺繍表現に見る今日の作家達 -」(日本橋髙島屋美術画廊/ 2013 / 東京) 2021年「清須市第10 回はるひ絵画トリエンナーレ」大賞受賞。2022 年「メタセコイア・キョウマチボリ・アートフェア」栗原里菜審査員賞受賞、家入一真・松村貴樹・谷口純弘レコメンド獲得。

 



ーそれではまず、福嶋さん、自己紹介からお願いします。

福嶋:福嶋さくらです。絵を描いています。主に綿布にアクリル絵の具で絵を描いた上に部分的に刺繍、糸を縫って作品を仕上げています。描いているのは「記憶の中の風景」が主なんですけど、写真を見て何かを描くと言うよりは、今経験したことであれば10年後に変化してきた形をそのまま絵にしたいなと思っていて、何かを参考にして描くと言うことはしないんですけど、自分の中で起こった変化をそのまま絵にしています。

ー福嶋さんとお会いしたのは昨年の9月、ちょうど一年ぐらい前ですかね。福岡の「Kyushu New Art」の現場でしたね。阪急百貨店丸ごとアート展開をされていて、会場でアーティストの篠崎理一郎さんから福嶋さんを紹介されて、作品を見たのですが、イラストレーションと現代美術の間を行き来するような作品でありながら、たくさんのストーリーを感じた第一印象でした。作画の秘密などは後でゆっくりお聞きするとして、最初にまず福嶋さんの画家になるまでのストーリーをお聞きしたいのですが。

福嶋:小さい頃から身近に画材があって、自由に絵が描ける環境でした。高校になって美術科のある高校を選んで、そのまま自然に美大に行って大学院に行って今に至る感じです。 あまり迷いはなかったんです。クリエイティブな職業に就きたいと思っていたのですが、画家になろうと思ったのは大学の卒業制作をしている時でしたね。それまでは絵で食べていけるとは思っていなかったので。

ー今の綿布にアクリル、刺繍という手法を発見したのはいつぐらいですか。

福嶋:大学の3年、4年の時です。それまでは油画学科で油絵を描いていたのですが、学科の中で油絵を描いていた人はほとんどいなくて。笑。私はずっと何の疑問もなく油絵を描いていたので。 大学に入って200人の生徒がみんな違うことをしているのを目の当たりにして、ショックを受けて、そこからシルクスクリーンやいろいろな手法も試すようになって、綿布も刺繍もアクリル画絵の具もそんな試行錯誤のなかから生まれました。

ー福嶋さんは各地で長期にわたるアーティストレジデンスなどもされておられますが、そういうチャンスはどうやって掴まれたのですか。

福嶋:大学時代の交友関係もありましたが、ただ待つだけではなく、自分で縁をつかみにいかないと、と思いました、大学院を卒業してから1年後に、別府に移住して、そこで2年間過ごすのですが、「清島アパート」という、1年単位で作家が移住して作品制作するのを支援するというシステムがあるのをネットで見つけて、九州出身だし、実家も近いし、新しい場所に行ってみたいと言うのもあったので踏み込んだと言う感じです。今でも、コンペを主催者や、審査をしてくれる人に興味があれば、積極的に応募をしたいなと思っています。


「はるひ美術館」福嶋さん個展会場にて

Acrylic painting, threads on canvas ©️福嶋さくら


Acrylic painting, threads on canvas ©️福嶋さくら

ーそんななか、名古屋の「清須市はるひ絵画トリエンナーレ」という絵画コンペで大賞を獲得され「はるひ美術館」で個展をされたのですが、これへの応募のきっかけは?


福嶋:「はるひ美術館」へは、公募に応募する2年前ぐらいに「安西水丸」さんの個展を見に一度訪れたことがあって。私は安西水丸さんがすごく好きで、影響を受けています。「はるひ美術館」はそれほど大きな美術館ではないですが、作品をしっかり見せる美術館としてとても素敵だと思ったし、水丸さん以外の展示も自分好みで、私に合ってると思ったので、コンペに応募してみました。

ーその「はるひ美術館」での受賞展を観に、僕と笹貫さんと一緒に出かけたのですが、そのとき初めて福嶋さんの作品をご覧になって、笹貫さんどのように感じられましたか?

笹貫:先に谷口さんが福岡で観て「いいから、とにかくいいから、めちゃいいから」って言われてて、写真も見せてもらっていたのですけど。「はるひ美術館」は私も水丸さんの展覧会を観に行ってて、可愛くてすごくいい美術館だったし、緑も多くて、駅からめちゃくちゃ遠いんですけど(笑)。あの美術館で福嶋さんの作品が見れるならと思って行ったのですが、会場に入った瞬間に「息を呑む」と言うのはこう言う感じかと思って。「すごい」と。アートと刺繍の組み合わせは写真なり、ファッションなどでも例があると思うのですが、全く観たことがないタイプの作品でした。今回、福嶋さんのプレスリリースにも「新しい絵画を観にきてください」と書いたのですが、私の感じた第一印象でした。絵そのものも素敵なんですが、綿布がなせる技のぼかしのなかに刺繍を入れることで絵の解像度を上げる手法というのが、コンセプトとしても面白いと思いました。

福嶋:ありがとうございます。とても嬉しいです。

笹貫:人間の記憶ってあいまいじゃないですか?いつだったか、どういうシチュエーションだったかはよく覚えていないけど、あの時食べたものとか、感じたこととか、そういう記憶の海の中にある断片が絵になって現れている、そんな感じがしました。

ー会場が広かったので、作品もたくさんありましたね。300号の波の絵も素晴らしかったのですけど、全部の絵の中にストーリーがあって、例えば、玄関に傘が置いてあって、その傘の先の雨の滴がタイルに染みているという風景が描かれていて、その詩情がすばらしいなと。大きな作品の波もそうだし、傘の雫もそうだし、そういったものの中にストーリーを持たせる、アミニズムのようなものを福嶋さんの作品の中に感じたのですよね。 で、笹貫さんと下原さんと三人でやっている「メタセコイア」のアートフェアの募集中だったので。その場でエントリーをお願いして。

笹貫:チラシ持参で伺いましたよね。笑。

「メタセコイア・キョウマチボリ・アートフェア2022」会場にて

ーで、その500近い応募の中から、家入さんも、インセクツの松村さんも福嶋さんを選ばれていたし、何よりBYTHREEの栗原さんの審査員賞を獲得されこともあり、 フェアの会場で福嶋さんを紹介することができてよかったなと思いました。それではここで、福嶋さんの作品に心を掴まれた栗原さんに登場していただき、お話を伺いたいと思います。栗原さんどうぞ(拍手)

栗原:栗原です。500くらいの応募者の中から、福嶋さんを選べてよかったなと思いました。すべてWEB上での審査でしたので、パソコン画面も小さくて、ディテールも分かりにくく、ずいぶん選考は悩んだのですが、最初にサムネールであったパフェと山の絵が気になってしまって、インスタやホームページなどで福嶋さんを追っかけて行って、やはり自分の記憶が蘇るような作品が印象的でした。500人から選ぶわけですから、何回かに分けて審査するのですが、何度見ても福嶋さんが残っていたという感じで、これは生で見なきゃいけないなと思い、選ばせていただきました。



BYTHREE栗原さん登壇

ー実際にフェアの会場で福嶋さんの作品をご覧になっていかがでしたか?

栗原:新作をご用意いただいたのですが、それがとても可愛くて、お話も直接伺えて、サナギから蝶になっていく絵のストーリーも聞きながら、靱公園の緑とクリエイティブがクロスするような素敵な作品を用意していただいて、すごく感慨深く、うれしかったです。

ー福嶋さんはいかがでしたか?

福嶋:大阪にゆかりが今までなかったので、知り合いもいないし。九州のアートシーンはなんとなくわわかるのですが、全く違う場所にきたなという感じがしました。他の出展作家さんともたくさんお話をしたのですが、かなり刺激をいただきました。そこで個展のイメージも滞在中にブラッシュアップできましたし、応募してよかったです。



福嶋さくらフライヤー (BYTHREEデザイン)

笹貫:今回、個展の開催にあたり、栗原さんはじめBYTHREEのみなさんにお願いしてフライヤーをデザインしていただきました。素晴らしいデザインをありがとうございます。

栗原:クリエイティブディレクションしたのは私ではなく、吉田で、デザインしたのは喜田ですが、私が話していいですか?笑。DMだと刺繍というのが伝わりにくいので、そこは文章で伝えるとして、裏と表がくっついていて二つ並べると繋がるようなデザインにしました。チグニッタの入り口にいつもフライヤーが表裏で並べて貼ってあることからそのようなデザインにしようと。

吉田:刺繍の糸と一緒で永遠につながって行ったらという意図も込めてデザインしました。

ー今回の展覧会のタイトル「隔たりを行き来する」というタイトル、その意味を、福嶋さんからまずお教えいただいて、栗原さんはプランナーであり、コピーライターでもあるところから、それにインスパイアされて素晴らしいキャッチフレーズが添えられました。



フライヤーのキャッチコピー(栗原さん制作)

福嶋:「隔たりを行き来する」という展示タイトルを決めたのですが、大きくは、私の制作スタイルが「刺繍をする」ということで、表から裏に糸が行き来するというところがあり、そのほかにも、朝と夜の間だったり、形がない隔たりだったり、家から外に出るというのも隔たりだと思うし、記憶のなかの現実から昔に遡って自分の記憶を描くというのも自分の中の隔たりを超えるというのがあると思っています。これはしっくりくるというタイトルかもなとつけました。

栗原;その意図を拝見して、なるほどなという思いもありまして、デザイン的にいうと糸っぽい手書きの線で繊細さを表現してみました。フライヤーに添えたコピーワーク「彼女が描く(あるいは縫う)情景は、なぜか私も見たことがあるんだ」は、自分の思ったことをストレートに書いたのですが、福嶋さんと、私と、絶対違う個人で当然そこにも隔たりがあるのですが、でも福嶋さんの絵を通じてイメージは共有できていることをつたえようと。

ー展覧会に寄せて、栗原さんにメッセージというかエッセイもいただきました。

栗原;この文章も、私が書いたところで。。。というのもあるのですが、福嶋さんに絵を見ての素直な感想を書かせていただきました。私自身、記憶をとどめておくのが得意ではないというか、毎日が忙しくて、自分生きている時間尺が数ヶ月というような感じなのですが、今回の作品を見ると、「あ、あのときのあれ」みたいなことが思い出されて、私という存在がこの数ヶ月の尺というのではなくて、蓄積されていた分だけあったんだなと再認識させてもらったな、と思って書かせてもらいました。

ーこんなに作品を自分ごととして受け止めていただいて、文章にしてもらえるなんてうれしいですよね。

福嶋;昨日から始まったんですけど、いらっしゃった方も、私の記憶ではあるんですど、「あの時にあの感じに似ている」とか、具体的な話をしてくださったりする人がいて、作者として聞いてておもしろいなあと思うことがたくさんあります。


繊細な会場タイトルもBYTHREEデザイン

ーこの繊細なアートディレクションが加わって、この展覧会の厚みも増したなと思うのですが、今回、BYTHREEさんに無理を言って、会場タイトルもお願いします、とお伝えして、あの細いロゴをカッティングシートで作っていただき、非常にいい展示になりました。 栗原:オンラインでご覧になっておられる方は、この展覧会、ぜひ生で見ていただきたいです。製作者のオーラというものを感じられると思います。 ー栗原さんありがとうございました。



transport

ーここからはそれそれの作品について解説してほしいのですが、まず、メインビジュアルになっている自動車の中からの風景、助手席ですよね。これをテーマに選ばれた理由は。僕には雨粒ひとつひとつの刺繍が宇宙に見えたんですが。

福嶋:自分が描く絵というのは、一人でぼんやり見ていた風景というのが多いのですが、今回チグニッタで展示するにあたって、周りに誰かかがいて、みんなで共有する思い出、というものを描けたらいいなと思い、ドライブ中に、ふと雨が降ってきて、ワイパーが動いて、ぼんやり人と話してた情景というのが、あ、これを絵にできたらいいなという思いで描きました。宇宙という発想はなかったのですが、そういう見方も確かにあるなと思いました。



opening

ー滲んだ夜景がとてもセンチメンタルですよね。その隣の作品、クラッシックなIPodですが。

福嶋:これも車内ですが、別の風景として描いています。この視点は、後ろの席から運転席の間に置かれているipodをぼんやり見ている状況なんですけど。友達と旅に行くときに、メンバーだったり行き先に合わせて、昔はipodやカセットに曲を入れて持って行って、それを聴きながらワイワイやるのが楽しかったなあというのがあって、この絵も、周りに人がいるというのを想定して描いてます。今はスマホやyoutubeで検索しちゃえば済むようになったのでもう見れない風景ではあるのですけど。この車の絵はセットで飾りたいなと思って、割と早い段階で決めていました。



time capsule

福嶋:こちらは、タイムカプセルシリーズです。初めて連作にチャレンジしました、私は出身が熊本で、今は東京に住んでいるのですが、実家に帰るたびに自分の荷物を少しずつ片付けたりとか、捨てたり減らしたりしているんですけど、中でも思い入れがありすぎて捨てられないものとか、捨ててしまって今はもうないけどほのかな記憶のあるものをしっかり形に残して向き合っておきたいと思うものを並べています。


time capsule -turip-

福嶋:はい、折り紙は私が自分で折る方ではなかったんですけど、誰かから折ったものを「ハイ」って渡されて、貰ったら捨てれないタイプで。笑。客観的に見ると価値がないものでも、あのときの「ハイ」って渡された風景だったり、その人の顔とかが残ってしまって、折り紙は捨てれないものの一つですね。


time capsule -playing house kit-

ーこの人参とお魚みたいなものはなんですか? 福嶋:これは、女子には伝わると思うのですけど、おままごとのキットで包丁を入れるとパカっと割れる、マジックテープで繋がったおもちゃです、違う食べ物同士をくっつける遊びを誰もがやったことがあると思うんですけど、その思い出をとっておきたいなと思いまして描きました。私は気に入ってます。



time capsule -cassette tape-

ー僕はこのカセットかなー。たわんだテープをこうやって鉛筆で巻いた記憶があります。

福嶋:もう伸びてしまって何が入ってるかわからないけど笑。あとカメラに関してもそうなんですけど、カセットをセットするときの動作だとか、カメラを撮るときの動作の記憶も一緒に残しておきたい気持ちになります。お菓子の缶もクレヨンとか納めるのに使っていたりして、どこのメーカーかも覚えてないんですがピンクで女の子の横顔がデザインされてたのがすごく頭に残っています。


goodbye for now

福嶋:このパラソルのモチーフ自体は夏のものだと思うのですけれど、私はこれをチグニッタでこの時期に展示するというので、夏と秋の間の季節というのを意識して選んだテーマです。夏が終わってパラソルを閉じているけれど、まだもうちょっと名残惜しいなという状況がこのパラソルだったり、しぼんだままのビニールプールがあったりする庭をこの時期よく見かけることがあって、それを秋らしく展示したいなということでこのモチーフを選びました。隔たりも少し手前に作っています。


glimpse

福嶋:この作品は旧作で、5年前のものです。この作品がきっかけで手前にペイントで描いたレイヤーがあってその奥にモチーフがあるものを初めて描いた作品です、

笹貫:「はるひ美術館」にも展示されてましたね。すごく印象に残っています。

福嶋:はい、これきっかけで、刺繍ってなんとなく絵を描いてその上になんとなく載せて終わりという感じにしがちだったのですけど、ペイントとの組み合わせでもっと追求できるじゃんって思えた作品です。


leisure

福嶋:これは私が熊本出身で、近所に江津湖というすごく大きな湖があるんですけど、そこにスワンボートが大量に並んでいるんです。 笹貫:熊本市民の憩いの場なんですか? 福嶋:そうです。その公園で水遊びをしたりジョギングをしたり、ここに思い出のない人はいなんじゃないかなと思うぐらいの場所です。子供の頃から大人になるまでコンスタントにここに思い出があって、度々描きたくなる場所です。


reflection

福嶋:サングラスも旧作です。刺繍って物理的に盛り上がってて存在感が出てしまうものなんですけど、縫うことで水の透明感だとか、光だとか、いろんな物質に変化できないかなといつも考えていて、サングラスで言うと透け感だったりとか映り込んでいて風景も見えててと言うそういう多面的な作品にならないかと、よく見るとうっすら海と空が映り込んでいるように刺繍をしてみました。


reflection (detail)

ー福嶋さんは刺繍をどこで覚えたのですか?

福嶋:誰にも習っていなくて、ちゃんと日本刺繍とかされている方からすると、かなり独創的なやり方だと思うんですけど。

ーそうですね。クロスステッチとかじゃないですものね。画材の一つとして使ってる感じなのかな。

笹貫:でもこれがクロスステッチだとまるで違う感じになってしまうんでしょうね。まるで絵筆で塗っているようなストロークを感じますね。かなり細かいですよね。例えばこのサングラスの作品作るのにどれくらいかかるのですか?

福嶋:やりだすと、早く完成が見たくなっちゃうので集中して、ご飯も省略して。笑。早いものだと1日とか2日とかで仕上げちゃいます。


作品の裏面を紹介

笹貫:作品の裏側も見てもらいましょうか。作品のアナザーサイドというかんじで、行き来をした痕跡が素敵ですね。


foregather

福嶋:百合の作品は、めしべとおしべの部分だけポイントで刺繍をしています。父の知り合いの方に百合農家の方がおられて、毎年季節になると大量に百合をいただくんです。それが食卓に飾られることが年に何度かあるんですけど、それを見ながらご飯を食べるんですが、家のテーブルもそんなに大きくないので百合が目の前にあって必然的にじっと見ちゃうんですよね。その百合を見つめていた時間をいつか絵にしてみたいなとずっと思っていて、それが形になった感じです。

笹貫:やっぱり福嶋さんの作品は原画をゆっくり、目をこらしてみたいですね。それぞれのモチーフは見る人がそれぞれ違うものを思い浮かべて。それぞれすごくパーソナルなものだけど、それをみている人が共鳴し合うところが福嶋さんの作品の魅力だと思います。


アート性の高いアップサイクルバッグも販売しています。

ーあと、作品に加えて今回スペシャルなグッズがあるんですよね。

福嶋:私の作品は綿布を使っているとお伝えしたんですけど、綿の布を使って描いているのでどうしても絵の具が思ってないところで滲んじゃったなとか、失敗してしまったなと思った瞬間に、それをはいでまた新しく貼り直したりして、その習作や、失敗した作品を再利用して、バッグにすることを去年から始めました。

笹貫:リサイクルというかアップサイクルですね。しかもアート作品。

福嶋:自分でミシンをかけて一個一個デザインして、作っております。裏地もかわいいです。みんな魚の名前がついています。笑。他にも画集や缶バッジもありますね。


参加者から質問:ドライブしている車の助手席の風景ですが、どうして雨の水滴を刺繍で描こうと思われたのですか?

福嶋:ほんとに何気なく運転手と話している時に雨が降ってきて、ワイパーが攫って行った部分は水がないし、先の風景はしっかり見えているけれど、届いていない部分の水滴がわーっとなっていて風景としては同じなのにそこを境目に全然違うというのが面白いし、実際ガラスの表現というのはそこしかしていなくて、していなくてもみんなそこにガラスがあって水滴があるんだと伝わるように今まで描いてきた技術であれば表現できるかもというふうに思ったからですかね。

ーずいぶんたくさん話しましたね。いかがでした?緊張するとおっしゃってましたが。。

福嶋:ここに立ったら緊張もなくリラックスして話すことができました。メタセコイアの仲間もいましたし。

ー最後にメッセージをお願いします。

福嶋:やはり何度もお伝えしてることですが、実物を見ていただきたいです、写真では伝わらないものが伝わるかなと思いますのでぜひ会場にきてほしいなと思います。それにつきます。本日はありがとうございました。

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