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都市の混沌とコミューンライフ。



「Journal from the Cityは世界各国にいるChignitta contributersによる都市のレポート。」

今回は、2020年春に私たちが初めて直面したCOVID-19による「非常事態」の当時を、それぞれのシティから改めて振り返ります。


カツさんとは2001年からの友人でdigmeoutをはじめてアメリカで紹介してくれたギャラリストでした。彼を通じて、街のコミュニティ、人とのコネクションについて多くを学びました、折からのCovid 19, Black Lives Matterのムーブメントが加熱する今、アメリカが直面する問題を前にポートランドの街はどうなっているのか、その中で今彼が考えていることは何か、レポートしてもらいました。


 

カツ タナカ (PDX)

北米・ポートランド在住が四半世紀越え、タトゥーの数は増えるばかり。

ストリート・ファッションのブティック(compoungallery.com)リセールブティック(PDXPLUGD.com)日本のファブリックを使ったリサイクル・日本の勿体無い文化をモットーにしたブランド(Kirikomade.com)日系企業とポートランドのクリエイティブを結びつける様々な仕事を行う(UPliftpdx.com)などを経営。最近ポートランドの近郊の山奥に土地を買ってコミューンライフを始める。


 


谷口さん お久しぶりです。

なんか書いて!と言うことなので、日本の方はいま中々アメリカに出入りすることが出来ませんので、アメリカの今!(アメリカっといってもデカイので西海岸全体、いやポートランド市があるオレゴン州をベースにした今)をちょっと書かせてもらおうと思います。


ポートランドはアメリカの中でもかなりリベラルな街なので、COVID-19 の対処も早かったように思います。ただ3月の15日にロックダウンが発表された時は、このロックダウンが長く続くと思っていた人はほとんどいなかったと思う。

僕たちショップオーナー達は2週間以上続いたら 潰れるねなんて話していたのを覚えています。まさかこのロックダウンが3ヶ月も続くとは僕を含めてほとんどのショップオーナーが”まさか?”と言う気持ちはどこかにあったが、ありえないだろうという気持ちの方が強くて、そのまさかという気持ちを消し去っていたと思う。



あれからもう4ヶ月が過ぎた(原稿執筆時は8月)今のポートランドのダウンタウンはあの時に比べて大分変わってしまった。数ヶ月でここまで変わるのかっと思うほどの変化に、毎日ダウンタウンに仕事に来ている僕でさえも見るたびに寂しくなる。ダウンタウンの殆どのショップがこのようにボーディングされたままの状態であり 、ダウンタウンのターゲットもかなりの被害を受けた。


以前、僕のお店(コンパウンド)があった場所もボーディングされたままだ。

フェーズ1(ショップなどはロックダウンが解除されている)のアナウンスが先月発表されても今開いているお店は30%以下だろうか?やはり、 COVID-19 の影響も大きかったが、Black Lives matterの暴動の影響があまりにも大き過ぎたと思う。うちのショップも含めほとんどのショップに略奪が入った。警察のバイオレンスがベースとなったこの暴動を止めるために出てくる警察がいなかったので、ほとんどのスモールビジネスオーナーは僕も含め自分たちでショップの前に立ち暴動から自分のショプを守っていた。個人経営ではない、アップルやナイキショップへの略奪はもうほとんど戦争下でもあるかのような状態で全ての商品が略奪されていた。


僕のお店コンパウンドもメインのウィンドウは全て破壊された。

そしてこのBlak Lives Matter の暴動が起きて50日を過ぎた今でも、ポートランドのダウンタウンにはまだたくさんのプロテスターが集まっている。特にダウンタウンにあるフェデラルビルコートハウスビルティングの周りには数千人の人々が毎日集まって、連邦政府のアーミーと一足即発状態となっている。そしてこの状態は当分終わりそうも無い。


連邦政府ビルのグラフィーディーとダメージ

連邦政府に反発するプロテスター達は連邦政府の撤退を主張し、連邦政府はプロテストの温和、解体を主張している。撤退を主張するプロテスターの数は 連邦政府のアーミーが増える分増えていき、連邦政府のアーミーはプロテスターの数が増える分増えるということをずっと続けている。こういうことは ”問題”として解決するものではなく 解決のないパラドクスだと思う。もう常識的会話や解決法を伝える術がない。


連日続くプロテスト

彼らは皆、自分がいい事をしているっという自分はいいもの側だという無意識的にそうでない人達と自分の間を隔てる壁を作っている。そしてそのことに気づいていない人達が多い様に思える。そしてその脳の中にある隔てる壁は、その昔人種という人の肌の色をベースに隔てた壁と基本的には同じなのではないだろうか?僕たちが今しなければいけない事は そういった脳の中にある隔てる壁を減らすことのように感じている。


私は去年の夏から、ポートランドから車で1時間ぐらい離れた山奥に土地と家を買って暮らしている。水道は井戸水、排水はリサイクルシステムだ。様々な仲間がフルタイムまたはパートタイムでサポートに来てくれて、畑や集いの場所であるドームを作ったり、Tee Peeを立てたりしながら、Perma Cultureをベースに 自給自足に近い生活を目指して土地を耕し、鶏やアヒルなどを飼いながら暮らしている。



去年この山奥の広大な土地(8000坪?ぐらいだろうか?)を購入した時には、ポートランドの街で社長業をしながら、この土地を開拓していけるのだろうか?っと心配でいっぱいだった。そして、誰に話しても、”何故?” ”まさか本当に購入することはないだろう”っというのが大半の意見だった。ただ、他の意見ではブレない、何の根拠もない確信のような物を感じていた。昨年の夏から少しずつ開拓を始めて、少しづつ仲間が増えていった。そして今年に入ってCOVID-19のロックダウン、ソーシャル ディスタンス、その影響を強く受けて殆どの会社がリモートワークを取り入れた。今ではオフィスに仕事に行く会社員は10%以下なのではないだろうか?



そのおかげで、この生活も当たり前のようになってきた。今まで週末にしか来れなかった沢山の仲間が、リモートワークのおかげで平日にサポートに来たり、数週間泊まりでサポートに来てくれている。現在、森の中にジオデシックドームのデッキを作っている最中だ。街に住んでいた時は車の音が増えることで目が覚めていたが、今では日の出の光と庭に飼っている鶏や鳥の音で目がさめるようになった。体を動かすのもジムやヨガなどで機械的に動かしていたが、この土地では畑を耕したり、トレイルを作ったりしているだけで毎日いいエキササイズが出来ている。



人工と自然を隔てる壁は ああしたらこうなる世界とああしてもこうならない世界の壁だと昔 養老孟司氏が言っていた。ああしてもなかなかこうならない世界にどっぷり浸かって、様々な隔てる壁をとりのぞいていこうと思っている。



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