top of page

豊田弘大ギャラリートーク



現在、京町堀「chignitta space」で開催中の個展「STAR CHILDREN」。オープニングで行われた、画家の豊田弘大さんのギャラリートークを掲載します。15歳の時、夢に岡本太郎が出てきて画家を意識したという豊田さん。動画もお楽しみください。


 

豊田弘大

1991年大阪生まれ。 15歳から作家活動を始める。 2013年 東京 Slope Gallery、大阪 Digmeout Art&Dinerで個展『Space Circus』を開催。 2014年 Californiaで『smART project』に参加し壁画を制作。 2015年横浜 Ron Herman Cafe みなとみらいを皮切りに、 Slope Gallery、Digmeout Art & Diner で巡回展『Plain』を開催。 2017年 New York の Nepenthes New York で初の海外個展 『Home At Last』を開催。 2020年 BEAMS JAPAN B GALLERYにて展覧会 『STAR CHILD』を開催。


 



ギャラリートーク

豊田さん、久しぶりですね。 皆さんここにおられる方はご存知かと思うのですが、インスタライブをご覧の皆様に、自己紹介をお願いします。

豊田:豊田弘大です。画家です。星空の絵を描いてます、大阪が地元なので今回の展覧会「STAR CHILDREN」の巡回展をチグニッタでスタートさせていただきました。

画家、豊田弘大。いいですね。そもそも豊田さんが「画家」を目指すことになったショートヒストリーを教えていただけませんか?

豊田:幼い時から絵を描くことは好きだったんですけど、画家になりたいとかいうことは特になく、友達が喜んでくれるからとポケモン描いたり、コミュニケーションみたいに絵を描いていたんですけど、15歳のときに、岡本太郎が夢に出てきて「反旗を翻せ」というパワーワードを延々言われるという体験をしたんです。15歳だったんで「反旗を翻せ」っていう言葉をよく知らなくて、目覚めてすぐ辞書を引いたら「謀反を起こす」とか「相手の考え方を変えさせる」とかいう意味だとわかって「あー、そうなんだ」と。それから、急にポケモンじゃなくて何か生み出したいというか、作品を描きたいという衝動が出てきました。

「反旗を翻す」って知らない言葉を夢で聞くっていうのがすごくないですか。岡本太郎、ホンマに降りてきたかんじですね。

豊田:はい、それはもう、鮮明に覚えていたので。

岡本太郎の天啓をうけたんですねー。

豊田:そうでありたいですね。

本太郎の存在は知ってたの?

豊田:知ってました、大阪育ちなので太陽の塔とか、それまで写真から怖いイメージしかなかったんですけど、夢に出てからは受け取り方がすごい変わって、感覚として理解できるというか、しっくりくるようになったんですね、思春期というのも重なって最初はすごいネガティヴなえを描いてたんですけど、そこから音楽や映画やいろんなものを吸収していくうちに今のような絵に辿り着きました。思えば、星空というテーマは最初から描いてましたね。 星空は絵具を飛ばして描いているんですけど、これは「ドリッピング」という手法で、(ジャクソン)ポロックの絵を見たときに自分の絵を表現するオマージュとして使えないかなと試してみたらすごくフィットすることがわかって。僕はリップスライムが大好きで、サンプリングの手法で絵で出来ないかなと思ってポロックを試してみたらうまくっいったので、極めてみようと今に続いています。

弘大さんが、プロとして、生業として「画家」を選ぶという瞬間があったと思うのですが、それはいつでしたか?

豊田:高校卒業して、京都精華大学で日本画を学びたくて受験したんですけど、見事に落ちまして。笑。 でも他を受けるとか浪人するとかいう選択肢は自分の中になかったので、絵を描いて生きて死にたいという気持ちだけはあって。そのタイミングで「digmeout ART & DINER」での展示の話をいただいて、実際にお客さんに絵を見てもらったりだとか、買ってもらったりという体験をして、これを仕事をしていきたいなと思ったんです。



豊田弘初個展「space circus」digmeout ART&DINER

そうなんだ。ディグミーが初個展だったんだ。

豊田:その前に、父が画家でデザイナーをやってまして、東京の「SLOPE GALLERY」という場所で親子展をしたのが最初だったのですが、ソロの展示は「digmeout ART & DINER」です。「SPACE CIRCUS」というタイトルで、最初の個展です。僕の画家人生のはじまりでした。

あのときサーカスのテントの絵はすごくデカかったですね。普通、初個展だと小さな絵をたくさん描いて試してみるって感じだと思うんだけど、めちゃくちゃでかい絵が来たので「こんな大胆なことをするやつなんだ」って思ったことを覚えてます。

豊田:何もわかってなかったんだと思います。壁のサイズとかも考えずに、ただただ「この絵はこの大きさだろう」と勢いのまま描いたんで、今は逆にいろんなこと考えちゃうので出来ないですね。



星の窓(SILVER)

笹貫:今回の展示タイトルが「STAR CHILDREN」ということで、「星」というテーマがメッセージになっているのですが、描き始めた最初から「星」がテーマにあったんですね。

豊田:ドリッピングというのは一瞬の作業なんですが、感情とか瞬間のエネルギーとかグルーブが込められている気がして、星空を描くという行為にフィットしていると思うんです。あと、宇宙の果てしなさ、見えてるけれど、わからないことだらけじゃないですか。そういうものが自分の心の中を表せる気がして、書きたい大きなモチーフになっていると思います。

笹貫:あと、色がたくさんあるのが嬉しいなと思って。チグニッタではいろんなタイプの展示をするのですが、振り幅が広いというか。この前が「書道」だったこともあって、今回、生きものが芽吹いているような勢いを感じました。この色というのも弘大さんの作品で大きな意味があるのだろうなと。

豊田:そうですね。めちゃくちゃ大事ですね。絵を描くことが全て自分の経験から出てくるものだと思うんですけど、色は絶対リンクしてて、とにかく「目のさわり心地をよくしたい」と思っています。 僕はチープなおもちゃがとても好きで、今日のセーターもそうなんですが、こういう、色のあるものからインスピレーションがわくことが多いですね。絵を見ているときぐらい、癒しやなごみを感じてもらえたらいいなと思っています。見ている人にポジティブなエネルギーを送りたいです。



巡り巡る

笹貫:見ているだけで、ひとつひとつがファンタジーというかお話があるというか。あとやはりコロナのなかで日々淡々と過ぎて、最近色のない日々が続いている中、この絵を見て救われる気持ちがすごくしました。

豊田:笹貫さんがおっしゃっていただいているように、僕も日々、淡々としている中、散歩が好きで実際にこの山の風景は僕の地元、生駒の山なんですよね。中途半端な田舎なんですけど、笑。散歩していると、何気ない風景が心の状態によってすごく綺麗に見えたり、素敵に見えたりする瞬間を汲み取りたくて、そこに合う色を入れていく感じです。



STAR CHILDREN

笹貫:今回の個展も「STAR CHILD」から「STAR CHILDREN」に進化して、子供が増えたんですね。笑

豊田:駄洒落でもあるんですけど、巡回して数が増えていくという感じを出したくて。あと、今回、天使というモチーフが新しく出てきたのでいっぱい天使を描きたくなったというのもあってこのタイトルにしました。

今までの豊田弘大の作品は「ポップな抽象画」といったイメージでしたが、天使が出たのも今回が初めてなんですね。

豊田:FM802のカレンダーの仕事で、12月のお題をいただいて、そのとき天使を描きたいなと思って、流れ星の弓矢を射る天使を描かせてもらいました。それからです。それまでは抽象というか、タイトル見たら何が描かれているかなんとなくわかるという絵を描いていたのが、天使が出たことで具体的な内容になってきたというのもありますね。



あたたかい手

天使が出てきたことで、天使の羽のイメージや、この絵は天使の手のようなモチーフであったりと、抽象にも幅が出てきましたね。 豊田:手が羽にも見えたりもしますよね。より具体的になりながら、僕のタッチも残しつつというか。 窓のモチーフというのも面白いですよね。このフレームがあることで「内と外」という表現の面白さがあるというか、これはどうやって作ってるの? 豊田:これは正面から見ると1枚に見えるのですが、裏返すと4枚のキャンパスを嵌め込んでいるんですけど、額自体は丹波篠山の家具職人さんに特注で作ってもらっていて 荒西さんですね。(木工と暮しの店 『6』 ROCK 代表、荒西浩人さん) 豊田:そうです。 額に関して言えば親子ともに荒西さんにオーダー制作なんですね。 豊田:そうなんです。仕上げの色とかは変えてもらっているんですけどね。 いま荒西さんの名前も出ましたが、豊田弘大さんには、Palm Graphics豊田弘治というお父さんの存在も大きいと思うのですが、お父さんから受けた影響はありますか? 豊田:絵に関しては、父が仕事にしているので、父から「画材はこういうのがあるよ」とか、「スプレーがあるよ」とか教えてもらいましたが、何を描けばいいとかいうアドバイスは一切ありませんでしたし、それがとても良かったと思っています、変に教えてオリジナリティを失うより、伸び伸び自由にやることが大事だとおしえられました。サポートはすごくしてもらっています。 笹貫:チグニッタのインスタグラムで豊田さんの個展を紹介すると、イイネがすごく増えるんですよ。それって、弘大さんのファンがたくさんいて応援くださってるのもそうですが、弘大さんを知らない人でも、フライヤーの画像や作品をアップすると、ストレートに「いいな」と思ってくれるんです。難しく考えて頭で理解するというより、純粋に絵を見て「ステキ」とか「かわいい」とか「色がキレイ」とか。子供が絵を見て「いいね」っていうピュアな感じで、イイネがすごく増えるんです。 豊田:それはめちゃくちゃ嬉しいです。それはここ数年意識していて。作品を作る意味合いは僕の中ではきちんとあるんですけど、パッと絵を見てくださった方が、本質とは別に「可愛い」とか「きれい」とか「癒されるな」とか、そういったところに落とし込みたいというか、そういう感覚で受け取ってほしいです。そう言っていただいて嬉しいです、今日はゆっくり眠れます。笑。




弘大さんのファッションも毎日楽しい「STAR CHILDREN」。SNSのイイネも多く、嬉しい反応ですが、この展覧会、ぜひ生で見ていただきたいです。

皆様のご来場、お待ちしています。

チグニッタスペース 大阪市西区京町堀1-13-21 高木ビル1F奥



Comments


bottom of page