2020年秋にアーティストの夫とともに活動拠点をフランスに移したakari.日々の暮らしを綴るエッセイ “petit à petit”(プティ・タ・プティ)。今回は、食の大国フランスの魅力たっぷり「マルシェ」についてです。
akari
国内・海外にてインスタレーションやアート空間をプロデュースする他、様々な企業のブランドイメージアップや販売促進のディレクションを手掛ける。
「コミュニケーションをデザインする」をテーマに、企業パーティやイベントを企画。人が集う場、会話・対話する場をプロデュース。 2012年よりダンボールで作るパーティ空間「PAPER PARTY」をデザインし、新たな紙の可能性を発信。2015年には自身のライフスタイルブランド「by akari」を立ち上げる。近年は、ニュージーランド大使館やイタリア文化会館主催のパーティー空間プロデュース、FIT(ニューヨーク州立ファッション工科大学)での講演や台湾のマリオットグループホテル“Renaissance Taipei Shihlin Hotel”のアートワークを手掛けるなど、インターナショナルに活動中。2020年渡仏。
petit à petit – 4 「 Marché – マルシェいろいろ 」
パリに来てからの楽しみの一つにマルシェがある。
最初は買い方がわからずドキドキしていたけれど、今では毎週の楽しみになっている。
以前住んでいた10区のアパートは、しっかりとした建物のMarché Saint-Martinが近くにあったけれど、やっぱり屋外のマルシェが楽しくて、少し遠いけれどよくバスティーユのマルシェまで通った。
移住してから驚いたのは野菜や果物の味が濃いこと。
どうしても焼肉が食べたくて、日本食材店で焼肉のタレを買って鉄板焼きをしたことがあったけれど、焼肉のタレが野菜の味に完全に負けていた。野菜の味の主張がすごいのだ。お肉よりも野菜が主役になってしまった。
マルシェに並ぶ野菜や果物、お花が新しい季節の到来を教えてくれる。
ハードルが高いと感じていたお魚屋さん。
甘辛い鯛の煮付けがどうしても食べたいと思い、はじめて大きな美しい鯛を購入した時に、「お腹きれいにする?」みたいな質問をされ、「ウィ」と答えたのだが、持ち帰ってなんか変だなと思い良く見たら、背びれや尾びれが全てカットされて、ツルツルの鯛になっていた。
その後もお魚をさばいてもらう時にはちゃんと「骨も捨てないで!」と言わないと、あら炊きすると美味しい骨のまわりの身が、ゴミ箱行きになってしまうので要注意。
まだフランス語で会話は流暢にできないけれど、マルシェのお店の人とのやりとりも楽しい。
みんな自分のお気に入りの店でたいてい買い物をするのだが、アトリエの近くのマルシェは様々な国籍の人たちもいて、かなり活気がある。
いかにお店の人の視線を捉えるか、戦いではないけれど、少しテクニックがいる。
時々すごく混んでいたら、「ちょっとそこのジャポネーズ、ちゃんとここに並ばなきゃダメよ」みたいなことを言われたりして、なんか面白い。
絶対に私はみんなが持っているような、おばちゃんみたいなカートは買わないで、おしゃれなカートを買おうと決めていたのに、ちゃっかりどこにでもあるカートを買い、おばちゃんの仲間入りを果たした。
そんな活気あるマルシェでの買い物をしていると、写真を撮るのも忘れてしまうが、先日サン・ジェルマン・デ・プレにあるラスパイユマルシェに行くと、全てBIOだけあって野菜や果物がとても美しい。
お客さんもお店の人もお上品で、マルシェによって色々と違いを見るのも楽しいものだ。
この日はシェフの友人と朝からマルシェで買い物をして、食材を持ち帰り、ワインを飲みながらゆっくり時間をかけて料理をした。お料理が全てできたのは夕方18時。
お腹ペコペコだったけれど、丸一日かけて食を楽しむなんて、とても贅沢だった。
旅先のマルシェに訪れるのも楽しい。
少し前に訪れたDijonやBeaune、Aix-en-Provenceの街のマルシェ。
まだまだ知らないマルシェがいっぱい。
そしてまだ挑戦したことのない食材も試してみたい。
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