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petit à petit – 5 「 L’Arc de Triomphe, Wrapped(包まれた凱旋門) 」



2020年秋にアーティストの夫とともに活動拠点をフランスに移して1年を迎えつつあるakariさんのエッセイ “petit à petit”(プティ・タ・プティ)。今回は、10月3日までパリで公開されたクリストとジャンヌ=クロードによる「L’Arc de Triomphe, Wrapped(包まれた凱旋門)」のことを綴っています。


 


akari


国内・海外にてインスタレーションやアート空間をプロデュースする他、様々な企業のブランドイメージアップや販売促進のディレクションを手掛ける。 「コミュニケーションをデザインする」をテーマに、企業パーティやイベントを企画。人が集う場、会話・対話する場をプロデュース。 2012年よりダンボールで作るパーティ空間「PAPER PARTY」をデザインし、新たな紙の可能性を発信。2015年には自身のライフスタイルブランド「by akari」を立ち上げる。近年は、ニュージーランド大使館やイタリア文化会館主催のパーティー空間プロデュース、FIT(ニューヨーク州立ファッション工科大学)での講演や台湾のマリオットグループホテル“Renaissance Taipei Shihlin Hotel”のアートワークを手掛けるなど、インターナショナルに活動中。2020年渡仏。


 


petit à petit – 5 「 L’Arc de Triomphe, Wrapped(包まれた凱旋門) 」

9月18日から10月3日まで公開されたクリストとジャンヌ=クロードによる期間限定のアート「L’Arc de Triomphe, Wrapped(包まれた凱旋門)」をこの目で見ることができた。

60年前から計画されたというこの壮大なプロジェクトは、2万5000平米ものリサイクル可能な布を、屋上から垂らし、リサイクル可能な3000メートルの赤いロープで縛るというもの。

歴史的な建造物を布で覆うため、凱旋門を傷つけないよう石の表面に触れないように立体的に組まれたスチールポールで囲い、その上から布で覆うという大変大掛かりなものだった。


完成の二日前に近くを通り撮影。ほぼ完成しているが凱旋門の周りにはトラックやクレーンがいっぱい。


完成間近のL’Arc de Triomphe, Wrapped


凱旋門の周りを走る車は、凱旋門を見ることで忙しいのかゆっくりで危なっかしい。クラクションが鳴りひびくパリの街。

2020年5月に亡くなられたクリスト。新型コロナウィルスがなければ、2020年4月の完成を見ることができたと思うととても残念。

18億円と言われる製作資金は全てクリスト自身のスケッチやドローイング、コラージュ作品などの売り上げで賄われ、公金や、私的な援助資金は一切使われていないというから驚いた。実際にこの夏に南フランスに旅した友人が、彼のスケッチがギャラリーで販売されているのを見かけたらしいが、きっともう売れたはず。


夜のライトアップされた様子を見たくて再び訪れたが、あいにくの雨。それでも圧倒される美しさと迫力



離れて見るのと、真下から見上げるのとでは全く感じ方が違った。とにかく美しい。


雨でカメラが曇って、幻想的になった。

布のもつ力で人々が凱旋門に触れてみたいと思うだろうと語った彼は、ドレープの入り方にもこだわったという。実際、凱旋門の下に立った時、引き寄せられるように布に触れた。風によって布が揺れる光景が美しかった。風に布がたなびく動きも全て計算済みだったのだと、気づかされる。




しっかりと結ばれた赤いロープ。凱旋門自体がプレゼントのようでかわいかった。実際に布に触れた時のどっしりとした重みと布の感触は決して忘れない。

そして、凱旋門の下で7cm四方にカットされた布が配られていたのは、クリストからの贈り物のように感じられた。



そして、凱旋門の下で7cm四方にカットされた布が配られていたのは、クリストからの贈り物のように感じられた。


プレゼントのように縛られた赤いロープ。


凱旋門の下で配られていた布。クリストさん、大切にします。


表面だけシルバーに塗装されている。

体験と記憶と贈り物。

一生の想い出になった。




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