9月30日(土)に行われた、スズキアヤノギャラリートーク。作家を囲んで作品について話を伺いました。
聞き手、笹貫淳子(本展キュレーター)、谷口純弘
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スズキさんよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。
スズキ:スズキアヤノです。愛知県立芸術大学の大学院を2020年に卒業して今は埼玉にアトリエを借りて制作しています。
この展覧会は笹貫さんキュレーションで、企画からプロモーションまで手がけることで実現したのですが、まずは笹貫さん、スズキさんの出会いについて教えてください。
笹貫:スズキさんの作品を知ったのはインスタグラムです。私のスマホに「国際芸術祭あいち2022」の広告が出てきたんです。その一つに愛知県立芸術大学と連携したプロジェクトがあって、そのフライヤーでスズキさんの絵を見つけて、「めっちゃかっこいい」と思って「この人すごいいいな」と。それでインスタグラムを調べてコンタクトを取りました。
私は当時、足の指を骨折してまして。芸術祭全体は移動も大変そうだったので観に行けなかったんですけど、スズキさんの作品はどうしても生で観たいと思って、杖をつき、足を引きずりながら新幹線に乗って観に行きました。笑
会場では大きな作品が多かったのですが、観た人の心をグッと掴む力がすごいなと。モチーフに没入感があったこと、絵もポップでカラフルだし、この人の作品を大阪で観てもらいたいと思いました。
確かにスズキさんの作品は、とてもユニークだけど謎も多いので。今日はスズキさんの絵の秘密をこれから解き明かしていこうと思います。
スズキ:先ほどから言っていただいているように、ポップな作品ですが、これを見た人がいままでその人が経験されたことや、それぞれの人のそれぞれの想いから、私の好きだったアレに似ているなとか、私の好きだった風景に似ているなとか、親近感を持っていただければうれしいです。
スズキさんの作画のプロセスを教えてください。
スズキ:最初は風景です。庭だったり植物だったり、そのうち擬人化というか、動いてないものが動いているように見せたいとおもようになって、同じモチーフを何度もトレースしていっていろいろチャレンジしていくうちにこんな絵になりました。デッサンの段階で、自分のいいなと思う形を描き出していって、だんだん削ぎ落としていって、丸い部分を真っすぐにしたり、密着させたりしていくと最終的にこのような形になります。デッサンが完成して、キャンバスに移す前に背景の形や色も決め、イメージを決めてから制作にかかります。
笹貫:今にも動き出しそうな感じ、もこもこしていますよね。この不可解さというか不思議さを追求していくというよりは、観る人それぞれが感じてもらったらいいんですよね。 スズキさんの作品は、近寄ってみると、つるっとしたところとマットなところがありますね。その対比が面白く、真ん中のモチーフがぐっと浮き際立っています。この手法はどうやって発明したのですか?
スズキ:形がよく見えること、風景を切り取とることが私のなかで重要なので、形を切り取る部分にやすりをかけてフラットにした上にアクリル絵の具を塗って、周りは油絵具で艶のある背景を描いています。色が綺麗に見えるまで絵の具を何層も重ねて理想の色に近づけています。
線もとてもいいですね。太さも絶妙です。
スズキ:はい、体全体で頑張って描いています。
今回の展覧会タイトルについて教えてください。
スズキ:「FALL WINTER COLLECTION」ということで、ファッションにも影響を受けています。風景もそうですが人間にも興味があったので、海外のファッション誌などを見てエッセンスを加えてます。人間のディテールが見えない彫刻的な服が面白いなと思って、「装う」というテーマをファッションから引っ張ってきています。
そう言われたらこの作品もファッションぽく見えてきた!この作品は「Yosoou」(装う)というタイトルですものね。スズキさんの作品はタイトルも示唆的ですね。
スズキ:「TABI TABI」シリーズは、「国際芸術祭あいち2022」の時に描いたものですけど、擬人化や人間の生活というものを意識して描いています。
スズキ:「NEMURU KORO NIHA」(眠る頃には)というタイトルのシリーズは学生の頃から描いているモチーフなんです。私にとってスタンダードな形なんですが、人が眠る時の形を意識しています。「動いている」というのを模索していた時期なので、連作で作りました。
これは眠ってる人なのですね。なるほど。そういえば抱き枕を抱いている人に見えますね。笑。笹貫さんの激推し作品はどれですか?
笹貫:やはりフライヤーに使われたこの作品ですね、ファッション的でもあり、体操しているようにも見えます。
笹貫:この作品もハートを意識して描かれたわけではないと思いますが、ピースな感じもします。色も可愛いし。解釈を見る人に委ねちゃう、それが見る人と絵との対話というか、見る人の状況とか気持ちとかで感じ方がどんどん変わってきますよね。
スズキさんの作品はサイズもいいですね。でかいというのが大きな要素になっています。
スズキ:学生の頃から、シンプルな絵だけに大きなサイズがカッコいいとおもっていて大きな絵ばかり描いていました。「国際芸術祭あいち2022」の時は、会場の大きさもあり、自分の身長より大きなものばかり描いていたんですが、チグニッタでは会場のサイズに合わせていろんなサイズの絵を持ってきました。
笹貫:今回、スズキさんには「大きな作品を持ってきてほしい」とリクエストしました。初めての大阪個展なので、その迫力を体感してほしいと思ったので。また、はじめましての個展なので、コレクションしてもらいやすいサイズも揃えました。
素敵ですね。これだけバリエーションがあれば迷いますよね。
来場者からの質問:すごく綺麗な面だったので作り方を聞いてようやくわかりました。色を何度も重ねていると聞いてすごいなと思いました。
スズキ:同じ色で重ねたい場合は、最初に色を多めに作ってストックしておきます。
来場者からの質問:面と線では、どちらを先に描きますか?
スズキ:基本的に線から先に描きます。(会場ざわつく)線を最初に完璧に描いてから面を塗っていきます。すでに下地をを塗っているときから形は決まっています。
いろいろお話を聞いているうちに、作品の見え方もどんどん変わってきますね。
笹貫:インスタグラムで画像を見るのと、原画を見るのとでは印象が違いますので、この展覧会はぜひ原画をご覧いただきたいです。
スズキ:インスタグラムだけだとただの紙に書かれたイラストみたいに見えるんですけど、油絵の具とアクリルで面がいろんな見え方をしたり、空間を感じたりできるので、本物を見ればなるほなと思っていただけると思うので、ぜひ会場まで見にきてください。
本日はありがとうございました。
開催中!スズキアヤノ個展「FALL WINTER COLLECTION」
会場: チグニッタスペース(大阪市西区京町堀1-13-21 高木ビル1F奥) 期間: 2023年9月30日(土)~ 10月9日(祝・月) 時間: 13:00~19:00 会期中無休 / 予約不要 / 入場無料 内容: 絵画作品の展示販売
企画: ジュンコササヌキクリエイション
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